試験で役立つ!重要判例エッセンス!

公務員試験、行政書士試験、ロースクール入試など各種試験で重要な判例についてポイントを絞ってわかりやすく解説します。

尊属殺重罰規定違憲判決(最判昭和48年4月4日)

【事案】

当時29歳の女性Xが、実父からの長年の性的虐待に耐えかね、実父を絞殺したことで、尊属殺人罪(刑法200条[現在は削除])で起訴された。

Xは、刑法200条の規定は憲法14条1項の定める法の下の平等に反するとして争った。

 

【判旨】

○尊属殺は普通殺に比べ一般に高度の社会的道義的非難を受けて然るべきであるから、通常の殺人の場合より厳重に処罰するという立法目的は不合理とはいえない

○尊属殺を定めた刑法200条は、尊属殺の法定刑を死刑又は無期懲役刑のみに限っている点で、立法目的達成のため手段として必要な限度を超え、普通殺の法定刑に比べ著しく不合理な差別的取扱いをするもので、憲法14条1項に違反する。

 

【ポイント】

◎我が国初の法令違憲(法令の規定自体が違憲であり、どのような事件に適用したとしても違憲である、といったイメージです。)判決です。

◎立法目的違憲としたのではなく、立法手段違憲と評価したことに注意しましょう。

 

マクリーン事件(最大判昭和53年10月4日)

【事案】

アメリカ国籍を有するXは、在留期間更新を法務大臣に申請したが、日本在留期間中に政治活動(日米安保条約反対、ベトナム戦争反対運動等)に参加したことを理由に申請を不許可とされた。

Xは、在留期間更新の不許可処分の取消を求め訴訟を提起した。

 

【判旨】

憲法第3章の基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としているものと解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ。政治活動の自由も、外国人の地位に照らしこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、保障が及ぶ。

外国人に対する基本的人権の保障は外国人在留制度の枠内で与えられているに過ぎず、在留期間に行った基本的人権の保障を受ける行為を、在留期間の更新の際に消極的な事情として斟酌されないことまでの保障が与えられているものと解することはできない

 

【ポイント】

◎外国人の人権について、権利の性質上日本国民のみをその対象としているものと解されるものを除き保障が及ぶ、という箇所が重要です。

◎消極的な事情として斟酌(しんしゃく)されない、とは「マイナスの事情として考慮されない」といった意味です。

◎法人の人権に関する八幡製鉄事件(最大判昭和45年6月24日)と対比して覚えましょう。

森川キャサリーン事件(最判平成4年11月16日)

【事案】

日本在住で永住資格を有するアメリカ国民Xが海外旅行を計画し、日本を出国する前にあらかじめ法務大臣に再入国許可を申請したところ、過去に外国人登録原票への指紋押捺を拒否していたことを理由に不許可とされた。

Xは、事実上出国が困難になったとして、不許可処分の取消し等を求めて提訴した。

 

【判旨】

国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務はなく、外国人に海外旅行の自由(再入国の自由)は認められない

 

【ポイント】

◎外国人が出国する自由(海外移住の自由)は認められています(最大判昭和32年12月25日)。出ていくならご勝手に、といったところでしょうか。

八幡製鉄事件(最大判昭和45年6月24日)

【事案】

八幡製鉄株式会社の代表取締役Yらは、同社の名で自由民主党に350万円の政治献金を行った。

同社は「鉄鋼の製造及び販売ならびにこれに付帯する事業」をその目的とすると定款に定めていたところ、同社の株主Xは、政治献金が定款所定の目的を逸脱する行為であり無効であるとして、代表取締役Yらに対して株主代表訴訟を提起し、会社に対して賠償金を支払うことを求めた。

 

【判旨】

会社は定款所定の目的の範囲内において権利能力を有する。「目的の範囲内」の行為とは、定款に明示された目的に限らず、その目的遂行のために直接または間接に必要な行為全てを含む。社会的実在である会社にとって政治資金の寄付を行うことは、間接的に会社の発展に資する行為である。

憲法第3章に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能な限り内国の法人にも適用される。会社は自然人同様、政治的行為をなす自由を有し、その一環として政治資金の寄付の自由も有する。

 

【ポイント】

◎法人の人権は、性質上可能な限り保障されると判断した部分が特に重要です。

◎外国人の人権に関するマクリーン事件(最大判昭和53年10月4日)と対比して覚えましょう。

指紋押捺拒否事件(最判平成7年12月15日)

【事案】

日系のアメリカ人宣教師であるXが、外国人登録の際に指紋押捺をしなかったため、外国人登録法[当時]違反で起訴された。

Xは、指紋押捺制度が憲法に違反すると主張した。

 

【判旨】

みだりに指紋の押捺を強制されない自由は憲法13条により保障されており、当該自由は外国人にも保障されるが、公共の福祉による制限を受け得る。

指紋押捺制度は、戸籍制度のない外国人の人物特定に確実な制度であって立法目的に合理性があり必要性も肯定できる。また、その方法も許容される限度にとどまるものであるから、憲法13条に違反しない

 

【ポイント】

最高裁は、一般論として、みだりに指紋の押捺を強制されない自由は日本国民にも外国人にも保障されると認めています。

◎上記の一般論と、指紋押捺制度自体は合憲と判断されていることを混同しないように注意しましょう。

東京都管理職選考試験事件(最大判平成17年1月26日)

【事案】

在日韓国人であるXは、保健婦[現在は保健師]として東京都に採用されていた。

Xが管理職への昇任試験を受験しようとしたところ、受験資格の国籍条項を理由に東京都から受験を拒否された。これに対しXは、東京都に対して慰謝料支払い等を求め提訴した。

 

【判旨】

憲法は、外国人が公権力行使等地方公務員に就任することを想定していない

管理職に昇任するための資格要件を日本国籍を有する者に限った措置は憲法14条1項に違反しない

 

【ポイント】

公権力行使等地方公務員とは、行政処分地方公共団体の重要な施策に関する決定等を行う地方公務員のことです。課長級の管理職職員とイメージしてもらえば大丈夫です。

定住外国人地方参政権訴訟(最判平成7年2月28日)

【事案】

韓国国籍で特別永住者であるXが、大阪市選挙管理委員会に対して、選挙名簿に登録することを求めて異議の申出をしたところ、選挙管理委員会が却下したため、その取消しを求めて争った。

 

【判旨】

地方公共団体の選挙において、憲法上外国人に選挙権は保障されないが、

居住する地域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められる永住外国人等について、法律によって選挙権を与えることは憲法上禁止されていない

 

【ポイント】

◎外国人の地方選挙権について、憲法上の取り扱いと法律上の取り扱いが異なることに気を付けましょう。

◎外国人の国政選挙権については、憲法上も法律上も付与できないとされています。