尊属殺重罰規定違憲判決(最判昭和48年4月4日)
【事案】
当時29歳の女性Xが、実父からの長年の性的虐待に耐えかね、実父を絞殺したことで、尊属殺人罪(刑法200条)[現在は削除]で起訴された。
Xは、刑法200条の規定は憲法14条1項の定める法の下の平等に反するとして争った。
【判旨】
尊属殺は普通殺に比べ一般に高度の社会的道義的非難を受けて然るべきであるから、通常の殺人の場合より厳重に処罰するという立法目的は不合理とはいえない。
尊属殺を定めた刑法200条は、尊属殺の法定刑を死刑又は無期懲役刑のみに限っている点で、立法目的達成のため手段として必要な限度を超え、普通殺の法定刑に比べ著しく不合理な差別的取扱いをするもので、憲法14条1項に違反する。
【ポイント】
◎立法目的を違憲としたのではなく、立法手段を違憲と評価したことに注意しましょう。